今日のお勧め品

 おかゆまさき小説を読んで久しぶりにラノベを読みたい熱が上がったので本屋の新刊コーナーを眺めていてふと目に留まって手にとって見たら七月隆文さんの小説でした。運命?で、まぁ買って読みました。面白かったですねー。この人のギャグは小説という媒体の形態というのか、活字という部分を最大限に使って行間やスペース、文字の位置や太さを使ってくるのでただ読むにしても視覚的に楽しめます。あとは突き詰めた表現というのか、ある一定の立場から立って見た風景や常識っていうのがキッチリ書き分けられるのがすごい。この作品についてだと、タイトル通りごく普通の男子高校生が唐突に拉致されて地図にも載っていない超絶お嬢様学校の庶民サンプルとして転校させられるところから始まるのですが、そのお嬢様目線と庶民目線とがキッチリわけられてるのがいいですね。もちろん読者や作者は庶民なわけじゃないですか。だからこそ、お嬢様を書こうとしてそこから完全に庶民目線を廃するっていうのはすごい難しいんですよ。自分の常識をどこまで否定すべきなのか、新しい常識をどのように付与すべきなのか。そこらへんがきっちり書けているのです。なので、物語がとてもリズミカルで、かつ読みやすく面白い。キャラもなかなか立っていていい感じですね。残念なのは挿絵の男がちょっと下手っていうくらいです。女の子は可愛いのに男がなんか違和感なんですよね。ラノベレーベルが一気に増えてからイラストレーターもとりあえず女の子が可愛ければいいっていう風潮があるっぽくて、そこらへんは残念です。まだまだ掘り下げていないキャラばかりなので続きそうですし、次も期待ですね。